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古より伝わる琉球料理の再現

2022.6.09

食文化

美榮の東道盆

創業1958年の老舗料理店で、琉球料理の奥深さを知る

那覇のビジネス街に赤瓦屋根の風情ある一軒家。琉球料理「美榮」は、1958年に古波蔵登美氏によって創業された琉球料理店で、最後の琉球国王・尚泰王の四男で美食家だった尚順男爵の料理にも所縁があったそうです。そんな歴史ある場所で、ブルーゾーン沖縄ウェルネス・ステイのプログラムを実施しました。

古より伝わる琉球料理の再現

琉球王国時代から受け継がれてきた、琉球料理の真髄ともいえる料理が並びます。琉球料理は下ごしらえに多大な手間と労力をかけることが特徴です。それは食材をおいしく健康につなげるための調理法でとどまらず、訪問客へのおもてなしの心、とも言えるでしょう。
そんな王朝時代のメニューを再現させた古波蔵登美氏が残したレシピは今なお継承されています。

美瑛 ブルーゾーン沖縄ウェルネスツーリズムメニュー

こだわりの調度品

部屋を飾る調度品や琉球漆器の器、壺屋焼の酒器などのこだわりも料理に華をそえます。
医食同源の思想が込められた琉球料理は素材自体が素朴な色合いになってしまうため、器で華やかと美しさを表現し、来賓の人々を歓迎してきました。そんな琉球料理は、料理だけではなく器を楽しむ時間ともいえるかもしれません。

美榮 東道盆

独自の手法で絵付けされた東道盆。「東道」とは中国の史書による「東道の王」に由来し、主人となって客の世話をすることを意味します。最高のおもてなしを演出する器に込められた職人の技も琉球料理を堪能する楽しみの1つです。

美榮

琉球の伝統を受け継ぎつつ大正モダンな和の美術品を取り入れた室内は、創業以来大切に整えられている。時代を超えても色あせない美しさに、今はなき主のセンスを感じるとともに、訪れる人々を最上のおもてなしで迎えいれたいという想いが感じられます。

ブルーゾーン沖縄ウェルネスステイ特別メニュー

ブルーゾーン沖縄ウェルネスツーリズムにあたって、琉球料理伝承人である料理長自ら考案し、古くから伝わる調理法を用いて奥深い琉球料理を再現していただきました。

美榮 苦菜の白和え

【苦菜の白和え】
ほろ苦い苦菜を千切りにし白あえにし、つぶした島豆腐にジーマミー(落花生)と砂糖、白みそをあわせて風味よく仕上げています。

美榮 ウサンミ

【ウサンミ】
ゆで卵、胡瓜、もずく、ササミ、スーチカーをあわせて召し上がっていただきます。
※スーチカー:豚の塩漬け

美榮 東道盆

【東道盆(トゥンダーブン)】
東道盆とは、琉球漆器の代表的な器で、形状は四角、六角、八角、円形などがあります。中央の小皿には色や形が美しく、冷めても味の変わらない酒の肴を盛り付けます。今回は、ポーポー、青かまぼこ、カステラかまぼこ、揚げかまぼこ、花イカ、昆布巻、牛蒡巻きがもてなされました。

美榮 中味汁 

【中味の吸い物】
「なかみ」とは、豚の胃と腸のことです。材料の性質上、手数がかかる料理で、丁寧にアクやニオイをとりのぞく作業をした後、鰹節と肉ダシで、吸いものに煮込んでいきます。やわらかく臭みもとれた「中味の吸い物」は古くから好まれている琉球料理の代表といえます。

美榮 チムシンジー

【チムシンジ】豚レバー、島ニンジン、苦菜
昆布、イモ、緑黄色野菜、薬草を長時間ゆっくり調理してうまみを引き出します。塩分控えめで食材のうまみで味付けされたシンジー汁は、体内をめぐり芯まで癒やしてくれます。

美榮 ミヌダル

【写真右:ミヌダル】
2時間かけてすりつぶした黒ごまを砂糖、泡盛、醤油でのばし、豚ロース肉の薄切りにつけます。肉に味が浸みたころ、ゆっくり蒸してできあがります。
【写真左:田芋から揚げ】
田芋を蒸して皮をむき、適度な厚さに切って、そのまま揚げます。
【写真下:地漬け】
大根、瓜を黒砂糖で漬けます。壺のなかで黒砂糖はアルコールに変わり、漬けた瓜、大根はなつかしくも独特な風味を与えます。

美榮 ソーキ煮付け

【ソーキ煮付】豚ソーキ、厚揚げ豆腐、ゴーヤー
醤油、泡盛、砂糖で煮付けた豚のソーキは、沖縄料理の逸品として親しまれています。

美榮 クーブイリチー

【クーブイリチー】
クーブは昆布のことで、イリチーは炒めることを意味します。昆布をよく洗い千切りにし、ぬめりをとっておきます。ゆでた豚の三枚肉を短尺に切り昆布を加えますが、やわらかく煮えたころさらに薄揚豆腐とカマボコを入れて仕上げます。
昆布に含まれている塩分をいかすため、調味料はほんの少量の醤油を使うだけ。料理としては決して凝ったものではありませんが、あらゆる人々に親しまれている沖縄料理の1つです。

美榮 豚飯

【豚飯(トンファン)】
小さく切った肉、人参、カステラカマボコなどを炊き込んだご飯に、だし汁をかけて、サラサラと召しあがっていただきます。

美榮 菓子三種盛り

【琉球菓子三種盛り】鶏卵糕(ちいるんこう)、花ぼうる、冬瓜漬
・ちんるんこう(写真上):小麦粉、砂糖、卵黄をまぜて蒸してつくられたお菓子です。やさしく素朴な味わいが特徴です。
・花ぼうる(写真左):ポルトガルから入ってきたといわれており、切り込みを入れて巻きつけた形は沖縄独自の技法でつくられたお菓子です。
・冬瓜漬(写真右):砂糖で煮付けたとても甘いお菓子です。砂糖は琉球王府時代、中国への献上物として大変貴重なものでした。

守り抜かれた伝統料理

大正、昭和初期の時代の文化を取り入れつつ、琉球王国時代の宮廷料理を蘇らせた創業者の想い。
その亡き想いは平成、令和となった今なお受け継がれ、過去の伝統を残しつつ、現代の文化を取り入れながらこれから続く未来へ継承されていくのでしょう。
食文化、伝統が人を作り、継承した人々が新たな文化や伝統をうみだしていく。そんな人と歴史・文化のつながりを五感を通じて感じることができるこの場所で、守り抜かれた伝統料理をご堪能ください。

美榮


<琉球料理 美榮>

1958年創業の歴史と伝統を受け継いだ琉球料理店
所在地:〒900-0015 沖縄県那覇市久茂地1丁目8-8
TEL:098-867-1356
営業時間:昼の部/11:30〜15:00 夜の部/18:00〜22:00
休館日:日曜/年始/旧盆(他に不定休日がございます)
http://ryukyu-mie.com/

 

<ウェルネスブルーゾーンツーリズム>

地域資源を熟知した観光協会と密に連携するとともに、ツアー参加者が地域固有の生産者、加工業者、文化芸能家、住民と直接関わることで、現実を体感し、学び交流し「自然」「地域」「人」とつながり沖縄ライフスタイルを体感。
人生をより美しく、より輝く豊かな人生へと導いてくれます。

本事業への詳細をお聞きしたい方はこちらへご連絡ください。

【ウェルネス沖縄ブルーゾーンツアー事業事務局】
一般財団法人沖縄県環境科学センター
業務部/総合環境研究所/SDGs事業実行班 岩村
〒901-2111 沖縄県浦添市字経塚720番地
TEL:098-875-1941
E-mail:s.iwamura@okikanka.or.jp
メッセージ:https://wellness-tourism-okinawa.jp/message/
ホームページ:http://www.okikanka.or.jp/